夏の不思議な出来事2
また10年ほど前の、夏の日盛りの不思議な出来事のお話です。
自転車で町を走っていた時、ふとこんな光景を見ました。
たくさんの子どもたちが、駄菓子屋さんに集合して賑やかに騒いでいます。
アイスを食べたり、お菓子を買っていたり。店の女の人とおしゃべりしたり。
(楽しそうだなあ)
その時は、ゆっくり走りながら、夏休みの一こま、と思い眺めていました。
炎天下で、とにかく暑い日でした。自転車を漕ぐ足がやたらと重かったこと、頭がぼうっとしていたのは確かです。
(あれ?あの店、ずっと閉まってたんじゃなかったっけ?)
通り過ぎてから、ふと思い出しました。
(また開店したんだ)
その次に、その前を通ると、店は閉まっていて、ひっそりとしています。
隣の和菓子屋さんで、水菓子を買いながら、お店の人に聞いてみました。
「隣に駄菓子屋さんがありますよね。この間、お店やってたみたいだけど」
和菓子屋の奥さんは、きょとんとした顔で、
「大分前に店を閉めたんですよ。」
「だって、この間子どもたちがいっぱいいましたよ」
「え?お店の人、引っ越して遠いところに行ったから、そんなことはないと思うわよ」
「このは、っていうお店ですよね。」
「古いお店で、前は大分繁盛してて、子どもたちがいっぱい来てたけどね」
「・・・」
よくお店を見ると、いわゆる‘しもた屋’で、シャッターが下りて、古びた感じたでした。
でも、たしかに私は見たのです。いや、もしかしたら、幻影を見たのか。
むかしの、お店の幸せだった頃の一こまを見せられたのか。
今も、その通りを通ります。
今は、パン屋さんになっています。その前は古着屋さんでした。夏の日の不思議なお話、2弾です。(o^^o)