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たんぽぽ日和

夕焼け小焼けで日が暮れて(^O^)

患者のAさんは、92歳。元小学校の先生で、 訪問当初は、それはそれはお喋りに花が咲いたものです。

 

どこに生まれて、どんな幼少期を過ごし、戦争中はどんなだったか、ご主人と知り合って、亡くなるまで、私はAさんの人生をそらで語れるほど知っています。(o^^o)

 

そのAさんが神経痛になり、入院して帰ってきてからというもの、表情が無くなり、すっかり無口になり、話しかけても短く答えるだけになってしまいました。

耳が聞こえなくなったこともありますが、お喋りができなくなると、こんなにも静かな人になってしまうものでしょうか。

ただ、脚が痛い、痛いとしか口から出なくなっていました。

 

大声で、Aさんに語りかけてみました。

「Aさん、ひとりで寝てるとき、どんなこと考えていますか?」

「べつに・・何も・・」

「テレビ見たりしますか?」

「しません。見てもつまらないから。でもね」

「でも?」

「たまに歌うわね」

「何を?」

「あの、童謡なんか」

そうか!Aさんは歌が好きだった!

 

「もしもしかめよ、かめさんよ」

から始まって、私が歌いだすと、Aさんは始め恥ずかしそうに、次第に声を出して一緒に歌うようになりました。

 

私も、自慢じゃないけど、童謡大好きなんです。いくらでも、1番から2、3番まで歌えちゃうのです。(o^^o)

 

Aさんの足をやさしくマッサージしながら、浦島太郎や赤とんぼ、夕焼け小焼けで日が暮れて、クツがなる、赤い靴・・次々とふたりで歌いました。

Aさん、とうとう「痛い」とは言いませんでしたね。不思議!

 

「歌っていいわね。ホントに楽しい」

いつもは痛みで険しくなっているAさんの顔がピンク 色になり、すこし笑顔が戻っていたのが、嬉しくてならないたんぽぽさんなのでした。