94歳Yさんの体験記
訪問治療している患者のYさんは、94歳.お茶の先生だったステキな方です。
最近お話していて、ちょっとびっくりした体験を語られたので、イラストにしてみました。
話のきっかけは、閉所恐怖についてで、
「私はエレベーターに今も乗れないの」
とおっしゃるので、理由を聞くと、
「実はね・・」と、戦争中の話をされました。
Yさんは戦争中、もちろん娘さんで、勤労奉仕をされていたそうですが、お休みはあって、友だちと大阪のデパートに絵の展覧会を見に行ったそうです。(まだ展覧会なんかしてたんですね)見終わって、エレベーターに乗って下へ降りていたら、突然エレベーターを吊っていたロープが切れたのか、すごい勢いで下降したそうです。エレベーターガールが乗っていて、焦ってボタンを押すのですが、エレベーターは底まで落下。
「ええ〜!大事故じゃないですか!」
「でもね、底には、何かクッションみたいなものがあって、何回か弾みをつけて止まったの」
「それで?怪我は?」
「ちょっとぶつけたけど、無事だったの」
「大騒ぎでしたでしょう?」
「いいえ、それが、エレベーターガールも、乗ってた人の無事を確認すると、何事もなかったかのように、ありがとうございました、気をつけてお帰り下さい、とだけ。(笑)」
「ウソ〜!デパートの人が謝りに来なかったんですか?」
「何しろ戦争中のことだったからね」
「怖かったでしょう?」
「そりゃあ、落下している恐怖は今も忘れません。だから、エレベーターには乗れないの」
怖い!たしかに怖い体験だったでしょうね。
でも、エレベーターの底にクッションがあったなんて!
やはり戦時中、駅で電車を降りるときに転倒して、その上を沢山の人が通り、腕を骨折した体験をもつTさんも、Yさんと同じ94歳の方。
銃後の女性たちも様々な怖い体験をしたのですね。
こういう貴重な話を伺えるのも、訪問マッサージ師の楽しみだし、醍醐味だなあ、としみじみ思うこの頃です。(^^)