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たんぽぽ日和

幸せ、って?

台風が列島を吹き荒れている、というのに、この場違いな写真・・
9月初旬に、友だちとテントで楽しむ孫たちの長閑な写真です。気に入っていて、使いたい、と思っているうちに今日になってしまいました。ごめんなさい。

 

今頃九州の息子一家の家は、風雨がすごいだろうな。明日にはこちらにも上陸するようです。
さて、今日はSさんについて書きたいと思います。Sさんは、治療室に来られる50歳の乳がんの患者さんです。転移もしていて、ステージも高いのですが、この方がじつに長閑で、おっとりとしていて、今までにないタイプの女性なのです。

 

ここに見える多くのがん患者さんは、様々な治療をし、前向きで勉強家で懸命にがんと闘っている方、どう闘っていいか途方に暮れている方、中にはうつ状態の方もいて、じつに色々なタイプの患者さんたちが、私に思いの丈を訴え、泣いたり、大いに語っていただいています。
そして、訪れた時と違う、どこかスッキリした顔で帰られます。

 

Sさんは、初めからスッキリとした表情で現れました。
そして、淡々とご自分の人生について語られました。それは、どうして?というほど理不尽で、見方によれば、不幸続きのSさんの人生模様でした。
詳しくは書けませんが、DVの父親と夫に虐げられ、闘ったり、諦めたり、それでも子供たちを守って必死で生きてきたSさん。
「35億、っていいますよね。星の数の男性がいて、親は選べないけど、少なくとも夫は選べたはずなのにね」
と、笑いながら話す彼女は、若くしてとんでもない自己チューの夫と結婚して、すべての自由を失います。嘘、と思うけど、一度も結婚してから旅行に行ったことはないそうです。

 

その夫は、ステージの高いがんの妻を、面倒臭いと思ったのか、別居して家を出て行ったのです。
「私がどれほど解放されて、幸せな思いになったか、お分かりにならないでしょうね?それも、このがんのお陰なんです」
Sさんは、親思いの子供さんと住むようになって、自由とこの上ない幸せを手に入れた、と晴れ晴れとした顔で語りました。

 

病院の腫瘍科のドクターとは仲良しで、漢方の先生、たんぽぽさんにも何でも話せ、今彼女のまわりには嫌な思いをするものは、ひとつもないそうです。
先月発熱と、下痢と、歯周病に悩まされたそうですが、病院での検査で、腫瘍マーカーも血液検査もすべて良好。

 

びわコンニャクと漢方薬は続けています。だけど、にこにこして幸せそうなSさんを見ていると、ストレスがないことがどれほど大きいか、本当に実感します。

 

幸せ、ってなんだろう?

私、って幸せ?