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たんぽぽ日和

Sさんとの日々

今日は雨の日曜日。☂️

一日のんびり過ごす予定です。(o^^o)

 

さて、写真は、弟の出版社で出したばかりの本です。

実は、私の持ち込みで、著者は同人誌のお仲間の妹さん。神戸るみ子さんは画家で、絵の先生をしていました。

昭和30年代の、故郷宮崎で過ごした子ども時代を可愛い絵とエッセイで綴った絵本です。

弟は、この本を、認知症などのお年寄りのための回想法に使えるように、と出版しました。

私も校正の手伝いをしましたが、作者がイキイキとこの本の中で体験して駆け回る姿に共感して、何回も笑ったものです。

書店で見つけたら、是非手にとって見てくださいね。買ってくださったら嬉しいです。

 

さて、今朝新聞の俳壇歌壇を見ていて、ふと以前患者だったSさんのことを思い出しました。

「うたをよむ」欄に、「棺一基」とあったからです。この本は句集で、作者は大道寺将司。1970年代の連続企業爆破事件で確定死刑囚になり、40年間を獄中で過ごし、病死した人物です。彼の犯した罪についてはともかく、彼の残した俳句は素晴らしく、その句の全ては獄中で作られたものです。

Hさんは、大の競馬のギャンブラーで、家族も失うほどのめり込み、馬券場で脳梗塞で倒れた人でした。^_^;

本当に我儘でめんどくさい、やりにくい人物で、ヘルパーさんたちには嫌われていましたが、実は彼は森羅万象が好きで、映画、読書と、私と話が合い、随分頼まれて本を買ってあげたものです。

ある日メールが来て、「棺一基」という句集を買って欲しい、というので、書店で取り寄せて持って行きました。私は初めて大道寺将司という人を知り、その句を詠みました。

 

一身に木の芽の声を聞きをりぬ

残る日に縋り鳴きたる油蝉

棺一基四顧茫々と霞けり

 

「すごいよな、全部牢獄の中で詠んだんだ。世界があるよな。俺と同じなのにな」

6畳一間で寝起きして、身体がままならない身を嘆く日々を送っているSさんが、しみじみ言いました。

 

「Sさん、元気なら何をしていた?」

と聞いたら、即答、

「もちろん競馬場行ってるさ」

「・・・」