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たんぽぽ日和

6月に紹介したい本

 

今月はこの2冊を選びました。

と言っても、左の「ひらもとの人生道」は、息子の出版した漫画エッセイ第1弾。

小さな地元新聞に書いているものをまとめたものです。

生い立ちから、家族のエピソード、旅先の出来事などを書いていますが、そのテーマは、

「聴覚障がい者から見た世界」

です。

 

息子は、大難産で3日かかって産まれましたが、その時使ったかん(金偏に甘・・見つけられませんでした^_^;)子、カンシというハサミのような器具で頭を挟んで出てきた結果、聴覚がダメになってしまいました。

今は使っているのかわかりませんが、この時代は「うちもカンシだった」という方が結構います。その結果、なんともなかった方も多くいますが、中には脳に障害のあった方もいました。

 

息子は、補聴器をつけて、早くから(1歳のころから)口話法という、当時主流だった手話とは違う、音のある世界を気づかせて、唇を読んだり、文字と絵をカードに書いて、様々なものに名前があって、皆んなは声を出して話すのだ、ということを学ばせていきました。

 

例えば、踏切に行って、絵カードを見せて、「電車が来るね〜、ガッタンゴットン、カンカン」と毎回やっているうちに、静かな息子の世界の他にも“音”というものがあって、どうやらお母さんは口を動かして何か言ってるぞ、真似してみよう。

最初は、「ばーばーばー」と声が出たのを思い出しました。

「その調子、その調子!やったね!」

嬉しかったですね。最初の発語。

 

当時は家中のものに、字をかいた紙を貼っていました。たくさんのカードを持って息子に見せて“マッチング”させていました。

次第に、リュックからカードを出すと、息子が逃げる、という構図ができて、熱心にやればやるほど息子との溝に悩む日々がありましたが。^_^;

 

まあ、そんな日々を送り、息子は何とか言葉を話せるようになり(独特の言葉づかいてでしたが)、普通小学校に入学して、杉並区では初めてのインテグレーション(統合教育)児となりました。

 

イジメあり、仲間や先生とのエピソードあり、今は37歳になった息子の視線で、語られる人生模様です。

そこに登場させられる私は、もっぱらおかしくて、滑稽な母さんです。あんなに苦労して育てててこれかよ、と怒りたくなりますが、まあ仕方ありません。^_^;

素直に、息子の本の読者になりたいとおもいます。

 

 

 

と、長くなってしまいましたが、2冊目は、本当にタイムリーに、「デフ ヴァイス」(法廷の手話通訳士)丸山正樹著。

これは、主人公は聴覚障がい者ではなく、両親と兄が聞こえない人で、1人だけ聞こえる人として産まれた弟の語る話です。

著者は、普通の聴者ですから、大変な勉強をされて臨んだ本でしょうね。じつは手話にも、大きく分けて2つ、「日本語対応手話」と「日本手話」というものがあります。テレビなどで手話通訳者がやっているのは「日本語対応手話」、聴覚障がい者同士が日常話すのは「日本手話」です。

ここには、深い深い溝があって・・と、この小説は、その溝に潜む聞こえない人の受難の歴史や、それを埋めようとして奔走する人々の物語が、ミステリー仕立てで描かれていきます。

素晴らしい小説でした。

 

と、長くなりましたが、まだ小説の余韻浸っているたんぽぽさん、語り終えました。フウ。